2000億円の使い方?。ダム or 保育所、千箇所

2009.9.14

ダム保育所米国の51番目の州なり、属国なりと言われた日本だが、首相自ら積極的に国を売るような政治が、ようやく庶民の視野に入ってきて、すんでの所で民主党の政治に切り替わった。取り敢えずは、めでたいことだと思われる。叫ぶことと、することが180度違うことをやられ続けたなら、自民党にも愛想が尽きるというものだ。ここで、政治の流れが変わらなければ、折からの強欲資本主義からの不況の中で、日本の国は立ち行かなくなるのは目に見えている。

八ツ場ダムを完成させるか、ここで工事を止めてしまうかが、にわかにクローズアップされてきたが、このダム工事の帰趨が決定的なものではない。この現場が「象徴的である」だけである。既に4〜5千億円注ぎ込んで50年以上にわたって議論があって、後2千億円で完成するなら、「ムダを承知で工事続行もやむなし」かもしれない。しかし、この政権交代で、税金の使い方の流れは変えないといけない時に来ていると誰しも思っているのではないだろうか。
巨大土木工事と箱物を作ることは、極例外を除いて終わりにしないといけないと思われる。その最も当たり前な論拠は、“もう十分それらは作ってきた”からだ。本当に必要なものは少数まだ残っているが、「役人根性の“前例主義”で、同じ発想で作り続けた巨大土木工事と箱物」は、もうこれ以上つくる必要もないだろう。

それよりも今後は、物に対しては、少額の予算で多数の小型施設(例えば、保育所)を作ることや、未利用で放置されていて、国民の役に立っていない施設を如何に役立たせるかのソフトウェアの開発とそれらの充実策である。そこで、前者の問題について少し論じてみたい。
ちょっと前(9月中)のニュースで「待機乳幼児の数が5千人以上増えていた」のには驚いた。当然減っていると思っていたのに、大幅に増加していたからである。私の前職は、保育士・幼稚園教諭の養成に従事していたので、保育所や幼稚園のことには継続的に興味を持って眺めてきた。だから、このニュースに意外な感じを持って注目したのである。厚生労働省は、何をしていたのかといぶかりながら。なぜなら、厚生労働省は、数年前から「アパート一軒を借りて幼児教育の資格保有者が所長となって運営する小規模な「託児施設」を公認して、開設に当たって予算を出すことろまで」踏み込んだ対策を打ちだしていたからである。その対策が効果を上げていれば、“待機乳幼児の数は減少しているものと思っていた”のに、あにはからんや大幅に増加しいてたのである。
それで厚生労働省の本音がが見えてしまった。予算は付けても、本気で保育所等を増設する気はなかったのではないかと(小規模な託児施設が何カ所増えたか知りたいところ)。この辺が昨今の役人の働き方の典型だ、本当は国民生活に無関心で、省益や自分本人に関わる利害を優先して働いていることが、嫌というほど証明されてしまう(これも政権交代を呼び寄せた重大な一つの原因と思われる。公務員改革を是非とも達成して貰いたい)。

それから、この問題は「これからの国家予算の使い方の良いサンプルになる」。それは、「少額の予算で、方々に施設を作る」典型例だからである。大雑把に言って、地価の安いところでは、1個所5千万円くらいから、都市部の地価の高いところで、2億円くらいで「簡易型の保育所」が作れると思われる。都市部で作ったとして「千個所作って、最大2千億円」。大型公共工事の規模と同程度である。最新の待機乳幼児数は、2.6万人と報じられていたので、ほぼ千個所で収容可能と思われる。この予算が、2千億円である。これだけの予算を執行すれば、一、二年で確実に待機乳幼児問題が解消できるのである。本気になったらすぐに出来る話である。そして、地方にも予算が落ちるはずなのである。民主党になった暁には、是非とも実行してもらいたい施策の一つである。これはまた、
「不可欠の少子化対策」でもあるからである。

これが、自民党の御代に実行出来なかった。ここに、日本の政治・行政機構の「疲弊」が現れていると言える。
まず「大型公共工事」ありき。「大型公共工事」→工事の発注→族議員の存在(談合と裏での政治献金)→地方の建設会社が下請けで入り地方の経済を少し潤す→30年も繰り返され、今や必要性の怪しい工事案件が残った→八ツ場ダムに帰着する。
巨額の金が動くと、分配の事務が少なく、大手の建設会社も政治家も助かるのである。早い話、効率が良いのである。この図式で、前例として何十年も繰り返した。

この流れを変える

「1個所、5千万円から2億円で、地域に適合する保育所等を千個所作る」。厚生労働省のお役人がコミットしたければ、大いに頑張って千個所の現場を監督すればよい。それは、今時素晴らしい働きになるだろう(出張旅費がかさもうとも美談だから大目に見よう)。同時に、地方公共団体は負けずに頑張らねばならない。全国一律の規格化された建物を建てる必要はないわけで、地域にふさわしい建物を最適の立地で考えなければならない。地方の建設会社も、自らの知恵を絞り創造的に設計図を引かねばならない。それは同時に、創造的で心弾む仕事になると思われる。素晴らしいことばかりでないか。
困るのは、小口でも献金をして欲しい政治家さんだろう。国会議員にあっては、「税金から政党への交付金が出ているのでそれを有効に使っていただくのがよいように思われる」。地方議員さんも、つまらぬ欲は出さないのがよい。かくして、待機乳幼児も居なくなり、八方、めでたしメデタシとなってくれればよいのだが。

投稿日 2009.9.14

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