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経験や広報に頼らず「自己判断で逃げる」「大雨警戒ハザードマップ」を住民と自治体で作りましょう

2013.10.23

またまた、大島で大災害が起きてしまった。
原因は、2つ。温暖化による桁違いの雨量による水害。
もう一つは、大雨による“危険地帯の見直し作業がなされていないこと”。

前者は、世界的な文明生活による大量のエネルギー消費による「大気や海水の温度上昇」を主なる原因とするもので、今のところ対策に乗り出すことも出来ず、見ていることしかできない理由による“天災”。そして、残念ながら、世界の地政的観点では、日本は最高に大雨の被害を被る位置にある。
後者は、地質学者や防災学者さんに活躍していただかないといけない大仕事。でも、津波に地震にお忙しいので、自分達で作ってしまいましょうか。「大雨警戒ハザードマップ」とでも呼ぶべきものを。災害が起きてから、「あそこは、こうこういう理由で危険なところだった」と解説していただいても、後の祭り。昨今の雨は、記録破りで、殆どの人にとって“経験したことのない雨”なので、「逃げなくても良いか、逃げるべきか“経験的に判断できない”性質を持っている」。その時に有効なのは、“ここは逃げないと危険なのだ”という前もっての注意喚起があるかないかなのだ。これが「大雨警戒ハザードマップ」になると思われる。危険地帯は、概ね簡単に推測が付く。「谷筋が危険なのだ」。土石流は、流れることに関しては水と一緒だ。地盤的には、「地滑り地帯や火山灰地、住宅造成地の盛り土部分など」、この辺は学問的に明確になっている。問題は、自分が今住んでいる土地が、どのような特徴になるのかを知りさえすればよいのである。そうすれば、安全か危険かのおおよその推測は付く。

雨量と川の増水に関しては、幸いなことに誤差の少ない予測が可能なのだ。上流部に降った雨は、土に吸い込んだ一部の部分を除けば、しばらく後には川に流れ込むからである。雨量は、かなり密に設置されているアメダスの情報が利用できる。降った雨水の量は、雨量×雨域の面積×(時間)が基本になり、時間毎の雨の量を足し合わせて計算できる。他方、流れ出す方は、地下に染み込む量、増水し始めるまでの時間差、川のネック部分の時間流量など、日頃から気を付けていれば得られるデータを加味すれば、全部の雨の量から「川のネック部分の排出可能流量」を引き算すると、ネック部から起きて来る「川の水位上昇」が、かなり正確に予測できることになるのである。これは、専門家でなくてもできる作業で、地図を拡げ、対象の川の流域を出し、その面積を求め、雨量を掛ける。雨量は、上下で面積の変わらない容器で、実測も出来る。また雨は降ったが川の水はさほど変化しなかった雨量(染みこむ分)を知り、強い雨で自分の住むところの川は「何分後に増水してきたか」を知り、ネック部の川の断面積を写真で求め、増水したときの流れの速さを測れば(10㍍上流部に目標物を投げ込み、何秒後にネック部を通り過ぎるかをストップウオッチで計ればよい)、いま必要とするようなデータは、少しの努力で自分たちで計測できるのである。

ここまですることはないかも知れない。ナゼなら、避難が先だからである。要は、谷筋が危険で、川のすぐ傍が危険で、川のネック部がある付近に住んでいるのが危険なのである。他方、尾根筋にあっても、宅地造成で岩盤部でなしに「盛り土部分」に住んでいるのが危険なのである。これまで何もなかったことは、「現在・今後の安全を保証しない」。上に述べた危険要素を持って住んでいる人は、避難袋を作る必要がある。そして、明るい内の早めの避難を心掛けたいものである。それが、自分自身の生命を守る行動だからである。

このことを知れば、この先が浮かび上がる。危険地帯にはなるべくなら家を建てないこと、買わないことだ。命が大事なら、不便に耐える。私が、口癖で教えてきたことは、「便利は、コワイ」ということ。携帯電話でも同じである。安全な便利は、歓迎だが、ともすれば便利はコワイになってしまうので用心が要る。

投稿日 2013.10.23

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