商売の世界展開に留学生の積極的採用だとさ

2012.2.20

このニュースを聞いて、日本人学生として「どう思いますか」。この厳しい就職難の最中にこんな無惨なニュースが流れるのです。これが現実で、「無策、ニッポンの象徴」なのです。賢くない国会議員が大勢働きに合わない高給を取りつつ、片や少子化で「広き門のはずの若者の就職」が難しい。そんな状況の中で世界展開を考えているような日本の大手というか、世界に出て行こうという将来性のある会社が、就職先のない学生を眺めつつ、留学生の採用を積極化しようというのです。今回は、このニュースの背後を分析してみましょう。

この話はとても奥が深いですぞ。言わば「ダメ日本の無策の重層構造の産物」でしょう。広く分析すれば、一冊の本になるでしょう。それを極々手短に関係あるところだけを書きます。

「留学生の積極的採用」を表明した企業は、“留学生の優秀さ”を採用の一つの理由に挙げています。留学生は、母国語と日本語が出来るので、言葉の問題で難点が少なく、尚かつ、母国に確固とした人脈を持っているので、進出企業としては「彼ら留学生の人脈が利用できるメリットがある」と考えています。そういう理由は、成る程一理あるのですが、それじゃ忠誠心はどちらの国にあるだろうかという問を立てると、メリットとデメリットが象徴的に現れてくることになるでしょう。
それはそれとして、就活問題を考えるというなら、翻って“ナゼ日本人学生が採用されなかったか”を考えないわけにはいきません。
優秀な日本人学生がいたらそれはそれなりに採用すると思えるのですが、そうならずにインタビューのコメントの通りなら、比較優位として「留学生が優秀だった」のです。それはそれなりに大きな理由になったのだと思えるのです。この後の議論では、多少推測の域を出ないところがありますが、その不確かさを考慮した上で考えてみましょう。

「留学生が優秀」という理由の裏には「日本人学生より」という但し書きが付いていることになりますね。これはおおよそ私も認めざるを得ないところです。まあ単純に言って、最近の日本人学生(以下、学生と書く)は「勉強しませんね」。残念ながらそれを認めると、これで勝負有りですね。負けです。採用側から見て“採用出来ない”と判定せざるを得ないのでしょう。実に深刻な問題です。ここを何とかしなければいけないというのが、今回の文章の基本問題です。

簡単にそう判定しても、直接の被害を受けるのは現在の学生諸君です。私も辛いですよ。でも、“やりきれない現実を直視する”ことも避けられないことだと思います。残念ながら「ここが原点なのです」。

「ゆとり教育」というとんでもない教育が実行されて、学習内容がウンと少なくなってしまいました。その結果、社会常識として知っていそうな事柄さえ「教えられていないので知らない」という状況になりました(昨年度卒業した大学生からが、「この教育の被害をモロに受けていること」になります)。これは教育制度の結果であって、「学生諸君の責任ではない」のですが、就職戦線では「実力本位」であればあるほどそんな言い訳は通用しません。実力で勝負するしかないのです。
だから、今年も、この後の卒業生も被害者になるのでしょうが、これまでの教育から来るこのハンデキャップを解消するように勉強しなければ、就職戦線でなかなか日の目をみることが難しいでしょう。厳しいでしょうが、現実です。

だから、就職しようと真剣に考えている学生諸君は、「こんな環境に負けてはなりませんゾ」。そして周囲の怠け者に同調していれば、“アナタ自身の人生がダメになるのです”。まだ、救いはあります。勉強する気になれば、インターネットを先頭に、文明の利器は十分普及しました。図書館の蔵書・設備等は確実に良くなっています。“勉強する気があるならば、学ぶには過去最高の環境になっている”のです。サボルのは、アナタの勝手です。
大学は、アナタの能力を開花させるべき施設と割り切って、勉強に勤しむとよいのです。周囲に私語する(外国の大学では考えられない状況)学生が居れば、黙れと叱り、それでもうるさかったら、前列に席を取って熱心に授業を聞く努力をしなければいけません。あなた達はダメな教育制度の被害者で気の毒ですが、「生温る教育のツケ」を払わなければならない運命になってしまったのです。実力を付けないと損をするのはあなた自身なのです。ここは、一生懸命勉強するのが有効な対策です。熱心に学べば勉強は、楽しいですから、集中してやってください。勉強モードへ考え方を切り替えましょう。

「大学では、学問を修めよ」といいます。大学では、ただ覚えても仕方がないのですよ。学問は、「その学問を修めて得られる観点からの“ものの見方・考え方”を身に付けるために」するものです。だから、たくさんの学問を修めることで、ものの見方が多面的になれるのです。これが学問をする原則論なのです。人生で遭遇する色々な場面で、「その場面をどう理解して、どう具体的に対処するか」が人生航路の航海術です。あなたの航海術は、身につけた学問からのものの見方で補強されて強力なものになっているはずなのです。その基礎基本を学ぶのが「学問」なのです。勉強して損はないことが解るでしょう。

これを読むアナタは、何年生かは知らないですが、「学業を終えて、晴れて就職して働く高い志」を持っているならば、この文章を読んだ、今が決心のチャンスです。もしもこれまで生ぬるい気持ちで大学生活を送っていたのだったら、今から真剣に「学問を修める決心をしなさい」。大学へ行く意義は、昔もこれからもこれしかないのですが、このことを知らずに大学生活を送っている人間が日本の大学では多すぎるのです。親が行けと言うから来ているだけだとか、レジャーランドのような気分で大学へ来ているなら、それは大変な間違いですよ。勉強は、親でも他人のためでもない、アナタのこれからの人生を有意義にするためにしているのだからね。さあ、今日からと言わず、今から、真面目に勉強しなさい。学問を修めなさい。それが、就活の当然すぎる有効な対策なんだから。

高校を出て、「4年遊んだ、役立たずの人間を」アナタが社長なら採用するかい。採用しないだろ。役立つ人間を採用するでしょう。中味のない人間に給金を払ってくれるほど今の企業に余裕はないのです。大人の人生は、子供の頃の遊びの延長ではないんだよ。

投稿日 2012.2.20

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